自由を目指す皆さんこんばんは。地方医療を支えるアラフィフ勤務医おれんじ髭です。
飛行機の中での出来事
さて、みなさん、飛行機に乗っているとき、客室乗務員さんが
『お客様のなかにお医者様はいらっしゃいませんか?』
って声を張り上げている場面にであったことありませんか?
もちろん、皆さん、さっそうと『患者さんはどこですか?』と手を挙げて
彼女に近寄っていきますよね?
『お医者様ですか?ありがとうございます。あちらです。』
目の前には、じっとりと冷や汗をかき、青白いいろをしたサラリーマン風男性。
呼吸は浅く意識も朦朧としている。
『大丈夫ですか?』『息が、、でき、、ません。』
これは一刻をあらそうな。肺塞栓?緊張性気胸?心筋梗塞?
『客室乗務員さん、聴診器ありませんか?』 聴診器を耳にあてがうと
むむ?右肺の呼吸音が消失している。打診で右肺は鼓音が亢進している。
橈骨動脈は微弱。意識も消失しかけている。
これは、着陸までは待てないか。やおらボールペンの中を抜き、バキッと半分におり
消毒薬で可能な限り滅菌して右肋間より半分に折れたボールペンを刺したやいなや、
『プシュー』
よく振ったコカ・コーラを開けたような勢いのいい音を立て空気がドレナージされた。
『なるべく早く着陸をお願いします。』
こんな、江口洋介のような対応ができればレジェンド級の医師ですよね。
現実は、、、。
もう10年以上前の話。研修医のとき同僚と東京帰りの飛行機に乗っていた僕。
『お医者様はいらっしゃいませんか?』客室乗務員さんが声を張っている。
同僚と顔を見合わせる。
『どうする?』『えっ?』『いったほうがいい?』『だれか他にいるんじゃない?』
心理的に5分、実際は1.2分であったのではないかな。
『いこう!』どちらが引き連れたわけでなく
正義感を振り絞り、若き研修医は心配げな顔を浮かべながら現場に向かっていった。
現場に着くとなんとすでに急患さんに対応している医療者の姿が。
(田舎の飛行機はなかなか医者の搭乗率が高い。)
『野次馬のかたは集まらないようにお願いします。』
って客室乗務員さんより。
ちょっと遅刻しただけなのに、、、。野次馬って。
医師に対し,機内のドクターコールに応じるかというアンケート調査をしたところ,
回答した758人中,ドクターコールに応じると答えたのは34%,応じないは17%,
その時になってみないと分からないが48%とのことでした。
まとめ
色々と世知辛い世の中ですが、目の前に困っている人を助けるっていうのが初心だったはずです。
ただ、無防備に良心のみで医療を提供するのはリスクが高い。
10000件のうち9999件はうまくいくでしょうが、1件でもうまくいかないと
医療を良心で提供する側、提供される側双方に大きな傷を作ります。
適度なリスクを取りながらバランスよく医療していきましょう。
ちなみに投資をすることで最適なリスクの取り方、
リスクとの対応の仕方について俯瞰的になります。
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